CUT A REVIEW

REVOLTECH[リボルテック] No.002 ダグラム

メーカー:海洋堂 発売:2006/05

メーカー希望小売価格:1,995円(税込)

玩具

「太陽の牙ダグラム」は、当時としてはリアル路線(人型兵器がリアルかはおいておいて)として、ひたすら地味なストーリー展開と主役ロボットもヒロイック性を廃したデザイン、おまけに間違ってもフィギュア化されることの無さそうなヒロインと・・・こうしてみるとガンダムSEEDの対局に位置するようなアニメですね。

ストーリー的には、惑星デロイアの独立戦争ということで、ガンダムで言えば、ジオンサイドからの視点で描かれる・・・というようななまっちょろいものではありません。
ジオンと連邦が、国力差こそあるものの一時期は同等な戦力比をもっていたかなように描かれていたのに対して、ダグラムにおけるそれは圧倒的な国力差が前提にあり植民惑星でのゲリラ活動にすぎず、主人公たちの立ち位置的には表立った支援の全く見込めない1ゲリラとして、地球側の連邦軍と時にはデロイア政府からすら厄介者扱いされるという無国籍テロリストみたいな位置に立たされてます。

それ故、その保有戦力もダグラムが唯一のCBアーマーであり、その他はジープ1台とオートバイ2台程度という、どっかの核融合搭載MSと無敵戦艦を保有してるテロリストとは大違いですね。

荒野に朽ちる鉄の戦士は何故か 風を追う少女は誰か 狼のごとく心ゆれる青春が 獅子のように雄々しい青春がデロイアの大地を走る!
物語は一発の銃声で始まった Not even justice, I want to get truth 真実は見えるか

そんなちっぽけな主人公たちが、いくつかの局地的な勝利を積み重ねて最終的に戦力比をひっくりかえす・・・というようなヒロイックな展開は当然のごとくありません。(確かに局地的には勝ちまくってる訳ですけどね)
圧倒的に優位な立場の連邦軍からはたいしてして重視されていないが故、毎週小規模な鎮圧部隊との戦闘を繰り広げたり、前線補給基地の一つに攻撃を仕掛けたりと・・・ひたすら地味、展開される人間ドラマは基本的に、欺瞞と裏切りです
ダグラムでの大規模な戦闘は本当に少なく、実際大量の戦力と対峙するするシーンはいくつかあるものの(絶望的なBGMとともに)、大抵は直前で戦闘は回避されたりします。
主人公MSの一斉掃射で戦局をあっさりひっくりかえすアレとは(ry

かなりかっこよく解釈されたフォルムで立体化されてます 実際はもっと頭がでっかくってねぇ…

デロイアゲリラが開発したXネブラ対応型コンバットアーマーダグラムは遂にその姿を見せた その性能は!その力は!
ダグラムがデロイアに新たなる風雲を呼ぶ Not even justice, I want to get truth 真実は見えるか

しかし、ダグラムで素晴らしいのは、その戦闘シチュエーションに対する演出だと思ってます。
足場の取られる砂漠で砂漠戦用の多脚CBアーマーとの戦闘や、装甲を極限まで外した軽量化機体数体を相手に森林地帯にい誘いこまれるといった、それなんてアーマードコア?戦術ロボットアクションゲームのシナリオみたいな展開と非常に多彩です。
毎週豊富なバンクシーンと回想シーンが見れるアレ(ry

CBアーマーは、戦車からの発展としてイメージされたものとして、作中でも基本的に走り回りながら撃ち合うシーンが多く、今回の山口式可動の躍動かあるポーズが非常にかっこよく決まります。
もっとも、作中ではこんなにかっこいいポーズで描かれることは無かった訳ですが…。

右手にアームリニアガンを装備可能
装甲は対リニア装甲
左手の甲には20mmチェーンガン2門を内蔵
頭部にはスモークディスチャージャー4門

憎しみが戦火を呼び 戦いが暗い欲望を生む 銃火飛び交う影に 権力を望み 密かにつめを磨き 牙を研ぐ男たちがいる
時代はますますうねり 人々は嵐の中に立ち尽くす Not even justice, I want to get truth 真実は見えるか

そのダグラムも最初こそ最新鋭CBアーマーとして登場し、主人公クリンのつたない操縦能力をカバーしてくれてましたが、連邦の次々と登場する新型CBアーマーの前にはそのアドバンテージも小さなものとなっていきます。
パワーアップ要素は、背中に装備する追加パーツであるターボザック(個人的に素晴らしくかっこいい響きがあると思うのです)だけ、それですらゲリラである彼らが手にするにはややご都合主義的に思えたものですが・・・。
時代的には、ちょうど2号ロボ登場による主役交代が当たり前にな近辺の作品ですしねぇ。

頭部にミサイルランチャーを装備したヤクトダグラム
作中のパワーアップはこれっきり
行動可能時間の延長とリニアガンの連射を可能とするターボザック

歴史とは時の流れの必然か それとも神の気まぐれか 意外や人が仕組むのか 植民の星に妖怪が笑う 笛吹けば人は踊ると 妖怪がおのれの書いた筋書きに酔う Not even justice, I want to get truth 真実は見えるか

地味ながらも圧倒的な火力として描かれれたリニアキャノンを搭載し、作戦時間の延長とリニアガンの連射を可能とするターボザック。
物語後半には、連邦第8軍最精鋭部隊、通称「24(にーよん)部隊」にもターボザックを装備した青いソルティック(コーチマスペシャル)が登場し、やけにかっこいい戦闘演出と相まって、非常に人気のありました。(その割にあっさりやられちゃったけど)

作中では終始圧倒的なものとして描かれたキャノンですが、そうは言ってもしょせんは単発…殲滅兵器のようなものでは無く、このロボットがスパロボにでれないのも、何となくわかる。(でも、ウォーカーマシンですら対等に戦える訳だしなぁ)

やけにかっこいい絵になるポーズですが
本編ではまず無いと思われる地味な作品
終始火力としては圧倒的なものとして描かれたキャノン

現実というものが こんなにも味気ないものか 時には絶望という情念の落差が 方向性を持たぬ疾走を生む 暴走 止めなければならぬ 命をかけても それが残された我が使命 彼らの人生の白き余白の広さゆえに Not even justice, I want to get truth 真実は見えるか

先に述べた通り、主人公達の奮戦は全体の戦局に影響を与えたのはわずかではある訳ですが、戦争状態が長く続いたことは結果的に世論に大きく影響を与え、地球側的にも「めんどうだし、ほとぼり冷めるまでとりあえず独立ってことにしとけばいいんじゃね?」・・・という大人の判断で形だけでも独立を勝ち取ることに成功する訳です。

最後はそれに納得のいかないクリン達は、再度武装蜂起し絶望的な戦いを仕掛ける訳ですが、これを救ったのは主権国家デロイアとしてのメンツをかけた武力投入であり最後まで報われない主人公達でありました。
この後に武装解除を迫られたクリン達がダグラムを自爆させ、第1話の印象的なシーンにつながる訳ですが、この長いドラマの終焉として実にドラマチックなものだっと思います。

思い入れ重視ということで、製品の紹介より作品の紹介の方にウェイトを置いたレビューとなってしまいましたが、「ダグラム」にほんの少しでも興味を持っていただけたら幸いです。
しかし、放送当時から20年以上たった今、このような形で発売されたことはホントにうれしいです。
いやぁ、ボトムズがガンガン製品化される横で、ダグラムは絶対にもう発売される機会はないんだろうなと諦めきっていたので「海洋堂」さんには感謝しております。
できれば…せめてソルティックだけでも良いから製品化してくれませんか?

大いなる巌のような人は笑顔を残して 海のような豊かな人は志を託して 炎のような熱き人々は叫びを残して 昨日までの時代を動かした人々は去っていった 今立ち止まり 静かに そして熱く 振り返る時 Not even justice, I want to get truth 真実は見えるか


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